就職活動をはじめた頃は、特にやりたいことはなかった。そのため父や姉が金融業界に勤めていたという理由で、自分も金融業界を志望することに。幼い頃から父の転勤で引越しを繰り返し、友だちができずに苦労した経験がある。自分が家族を持つことも考えて、転居を伴う転勤がない企業に行きたい。そんな考えから、地元である神奈川県の金融機関を受けることにした。
小学生の頃に4度の転校を経て、落ち着いたのが横須賀。そこで高校時代までを過ごした。引っ越しを繰り返して出会った、地元の神奈川に貢献したいという想いもあり、さまざまな地方銀行や信用金庫の選考に参加する。その中で最初に内定を出してくれたのが神奈川銀行だった。タイミングもまた縁だと感じたこと。また穏やかな人が多い印象もあり、「ここなら自分でもやっていけそうだ」と考えて、入行を決めた。
入行1年目に配属されたのは横浜橋通支店。そこでは出納係として預け入れや払い出し、両替などで出入りする店舗内のお金を、常に適切な金額に保つための管理をする業務を担当していた。金庫からお金を出し入れし、ATMや出納機械に補充する。また、伝票作成や締め作業も重要な業務だった。締め作業では早く全員が退勤できるよう、その日に動いたお金と店舗内のお金の総額を迅速に確認しなければならなかった。振り返ると、この時に次の段取りを考えながら業務を進める姿勢が身についた。
そうして出納係の仕事にも慣れてきた頃、他の支店では同期が営業に出たり、融資の案件に携わったりし始めたことを耳にする。しかし、自分にはまだその機会が与えられない。同期を羨ましく思うこともあったが、それでも焦ることはなかった。自分がその時に任された役割をきちんとこなすこと。それが大切だと考えて業務に取り組んでいた。